書評 book review 「分子生物学」 2007 3 11

書名 好きになる分子生物学
著者 萩原 清文
出版社 講談社サイエンティフィク

 分子生物学の参考書(入門書)というと、たいてい、
「値段が高い、分厚い、何回読んでも難解」と、三拍子そろっていますが、
(これでは、敷居が高く、誰もが分子生物学を敬遠したくなるかも)
この本は、「比較的安く、ちょうどよい厚さ、わかりやすい図解と文章」と、
よい意味で、三拍子そろっています。
 基本的に、本の値段が高いのは、出版社が、
「この本は、売れない」と考えているからです。
 以前、大学教授が、講演で、こんなことを言っていました。
「最近、私は、本を出版したが、本の値段を見て、がっくりした。
とても高い。これは、出版社が、私の本は、あまり売れないと判断しているからだ。
実に失礼だ。一般の人が読んでも、わかりやすいように苦労して書いたのに。
この値段では、一般の人は買わない」
 基本的に、出版社が売れると予想した本は、値段が安いのです。
たとえば、パソコンの本は、どの本屋にも置いてあり、値段が安い。
 ところが、プログラミング言語の本となると、
こういう本を買うのは、たいてい、業界の人か、パソコン・マニアなので、
あまり売れない(そういう予想がつく)。
その結果、一応、パソコン関係の本であるけれど、値段が高くなる。
 この本が、すごいと感じられるのは、
著者が臨床の最前線で働く医師であることです(著者プロフィール)。
病院勤務の医師は、激務であると言われます。
 しかし、この本は、最初から最後まで手抜きをせず、懇切丁寧に、書いてあります。
しかも、一般の人が読んでも、わかるように、自作のマンガ(?)で図解してあります。
「この著者は、本を書く才能も、他人に教える才能も優れている」と思わせる内容です。
それとも、師匠が優れているからでしょうか(監修 多田 富雄)。
 いずれにせよ、分子生物学の入門者や、こういう分野に興味がある人にとって、
必読の書と言えるでしょう。
















































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